「あ、はい」
会議室のドアから大村主任に呼ばれ戸惑った。
私、なんかやらかしたっけ?
一年目の私が会議中に呼ばれるってことはそうそうなくて、怒られるのを覚悟で会議室のドアを開けた。
「失礼します…あのー」
10人ほどの企画部の人達が一斉に私を見たので、内心ビビってしまった。
「私…なにか…?」
「これ?あなたが撮った写真ですってね?」
大村主任が一枚の紙を私に見せてきた。
その紙は、一ヶ月前に社員全員に出された課題で、都内の新しい旅行の企画書の一部だった。
「はい。自分で撮った写真ですけど…?」
「そう。中々良い視点ね」
「え?」
「企画の内容はイマイチだけど、写真が良く撮れてるわ」
「あ、ありがとうございます」
写真は、スカイツリーを写したものだった。
「 旅行に行きたくなる視点で良く撮られているわ。あなた、カメラに強いの?」
「強いって言うか…趣味でちょっと。写真を撮るのが好きなんです」
大村主任は、少し間を置いて、企画書の写真をもう一度見た後にあることを私に告げた。

