食事を済ませ、みんなでゲームをしながらリビングでくつろいでいると、
「そうだ!健くん…」
お母さんが寝室に何かを取りに行き、戻ってきた。
「これ、返すわ」
お母さんが手に持っていたのは、健が家を黙って出て行った時に置いていた置き手紙と数枚の万札が入った封筒だった。
「あ、でも…」
健が躊躇していると、
「受け取れるわけないじゃない。前にも言ったでしょ?息子同然の子からお金なんて受け取れないわ」
「…でも俺の気が晴れないんです」
「そうね…だったら、本当の息子になった時にきちんともらうから」
「?」
本当の息子?
首を私も健も傾げると、
「2人が結婚して健くんが婿に来たらね」
そう言ってお母さんはニヤニヤした。
「はぁー?何言ってんの?!」
私は慌てていても、健は平然としていた。
「あんたみたいなガサツな子、他に誰が嫁にもらうのよ。私はやっぱり健くんがいいわ」
お、お母さん何言ってんのよ…
お母さんをキッと睨んでいると、
「はい。俺もそうしたいです」
健がサラッと発した。
おいおい…
何でそうなんの?
すると、そんな健の言葉にお母さんは急に真顔になった。
「だから絶対に生きてね。真琴を幸せにしてあげて」
私は息を飲んだ。
お母さんの真剣な顔に健は力強く頷いた。
お母さん…ありがとう。
私は気付いたらお母さんを抱きしめていた。