翌日、予定通り健は退院した。



伊豆先生に頭を下げ、病院を後にし付き添った私と、私の家へと帰ってきた。




「おかえなさい」

お母さんが玄関先で出迎えた。


「おばさん…色々心配かけてすみませんでした」

健が頭を下げるとお母さんは首を横に振った。

「いいのよ。さぁいいから上がって、みんなも来てるから」


みんな?


お母さんの言葉に何気なく足元に目をやると、見慣れない靴があった。




リビングの扉を開けると、


「よっ!健!」

「おかえり。健くん」


祐樹くんと夏美が笑顔で迎えた。


「お前ら来てたのか?」

「おばさまに連絡もらったのよ。健くんが今日退院するって」

「お前は相変わらず俺らには何も話してくんねーからな!真琴のことしか頭に無ぇのかよ?」

「そんなんじゃねぇーよ、うるせー」



健と祐樹くんの相変わらずな言い合いに、私も夏美もお母さんもフっと笑った。



祐樹くんが、健のことをすごく心配していた気持ちは痛いくらい分かってたし、


健が祐樹くんに罪悪感や感謝の気持ちがすごくあることも分かる。



こんな親友の2人の姿を一番私が身近で見てきたから…。





2人の言い合いが微笑ましかった。




「真琴、あたし達も居るからね」

夏美が私の肩をポンと叩いて、小さくつぶやいた。


「ありがとう夏美…色々心配かけてごめんね」

「心配くらいさせてよ。親友なんだから」

「夏美〜!」

「はいはい、よしよし」


夏美を抱きしめると、夏美が子供をあやす用に私の頭を撫でた。



夏美は私の親友。



私にも健にも支えてくれる仲間がいる。




その事をすごく実感した。