10年後も…〜song for you〜


健がフっと笑った瞬間、



ートントン!



と音が鳴り、病室の扉が開いた。



「お邪魔してごめんよ。健くん、気分はどう?」

伊豆先生が笑顔で病室に入ってきた。


「あ、はい。大丈夫です」

「そうか。良かった。この子のおかげかな?」

伊豆先生は私の顔をちらっと見て、健にニヤニヤしている。



やだな…恥ずかしいよ…。


「ええーまぁ」


まんざらでもない顔をする健に、先生に見えないように睨みつけた。


「良かったな!健くん!」

先生は、健の頭をクシャクシャに撫でた。

まるで、父親と息子みたいな感じがした。


「もうひとつ、嬉しいニュースがあるぞ、健くん」

「へ?」

「明日には退院して良いぞ!ただし、毎週、水曜日と土曜日は通院だがな」


「本当ですか?!」

「ああ。通院と薬は絶対忘れるなよ」


先生は、退院に当たっての資料を健に渡した。

「ちゃんと、見とけよ!」

「はい!!」


健…退院出来るんだ!


嬉しいっ!!


「良かったね!健!」


嬉しさで、また泣きそうになった。