健がフっと笑った瞬間、
ートントン!
と音が鳴り、病室の扉が開いた。
「お邪魔してごめんよ。健くん、気分はどう?」
伊豆先生が笑顔で病室に入ってきた。
「あ、はい。大丈夫です」
「そうか。良かった。この子のおかげかな?」
伊豆先生は私の顔をちらっと見て、健にニヤニヤしている。
やだな…恥ずかしいよ…。
「ええーまぁ」
まんざらでもない顔をする健に、先生に見えないように睨みつけた。
「良かったな!健くん!」
先生は、健の頭をクシャクシャに撫でた。
まるで、父親と息子みたいな感じがした。
「もうひとつ、嬉しいニュースがあるぞ、健くん」
「へ?」
「明日には退院して良いぞ!ただし、毎週、水曜日と土曜日は通院だがな」
「本当ですか?!」
「ああ。通院と薬は絶対忘れるなよ」
先生は、退院に当たっての資料を健に渡した。
「ちゃんと、見とけよ!」
「はい!!」
健…退院出来るんだ!
嬉しいっ!!
「良かったね!健!」
嬉しさで、また泣きそうになった。

