「そういや、キスしたの3回目だなぁ」
しばらくたわいない話をしていたのに、突然の健のこの言葉に身体がビクと反応した。
「やだ。何数えてんのよ。ん?3回目って…?中学の文化祭と…今と…ん?」
健がなんだかニヤニヤしている。
「何ニヤニヤしてるわけ?どういうこと?あたしが知らないだけ?」
私がキッと睨みつけると、
「やだね。ぜってぇ言わね!」
そう言って、健は舌を出した。
ったく、子供じゃん…。
「もう知らない!あたし帰る!」
「うぉ!待てって!帰んなよ!」
健が私の右腕をつかんで、引っ張った。
「ちょっとー!何すんー」
顔をグッと引きつけられ、健の唇と自分の唇が重なった。
「これで、お互い三回目ってことで」
健がイタズラな顔をして笑った。
「ったく…バカ…」
健に完敗。
私の顔も思わずほころんだ。
「健のギター聴きたいなぁ」
しばらくして、ボソリと呟いた。
「退院したら、弾くよ。俺もギターが弾きたくなった。祐樹から取り戻さねぇとな」
「なんかその言い方、祐樹くんが悪いみたいじゃん。祐樹くんに託したのは、健でしょ」
「まぁーな…俺さ、音楽が…ギターがやっぱり好きなんだよな。病気になって、夢諦めてしまったけどよ…」
「諦めないでよ!」
「え?」
そんな私の言葉に健はじっと私を見つめた。

