10年後も…〜song for you〜


「そういや、キスしたの3回目だなぁ」


しばらくたわいない話をしていたのに、突然の健のこの言葉に身体がビクと反応した。


「やだ。何数えてんのよ。ん?3回目って…?中学の文化祭と…今と…ん?」


健がなんだかニヤニヤしている。


「何ニヤニヤしてるわけ?どういうこと?あたしが知らないだけ?」

私がキッと睨みつけると、


「やだね。ぜってぇ言わね!」

そう言って、健は舌を出した。


ったく、子供じゃん…。



「もう知らない!あたし帰る!」


「うぉ!待てって!帰んなよ!」


健が私の右腕をつかんで、引っ張った。



「ちょっとー!何すんー」


顔をグッと引きつけられ、健の唇と自分の唇が重なった。



「これで、お互い三回目ってことで」


健がイタズラな顔をして笑った。



「ったく…バカ…」


健に完敗。


私の顔も思わずほころんだ。









「健のギター聴きたいなぁ」

しばらくして、ボソリと呟いた。


「退院したら、弾くよ。俺もギターが弾きたくなった。祐樹から取り戻さねぇとな」

「なんかその言い方、祐樹くんが悪いみたいじゃん。祐樹くんに託したのは、健でしょ」

「まぁーな…俺さ、音楽が…ギターがやっぱり好きなんだよな。病気になって、夢諦めてしまったけどよ…」

「諦めないでよ!」

「え?」


そんな私の言葉に健はじっと私を見つめた。