先生からの話は余りにも酷な物だった。
「彼の心臓は、いつ停止してもおかしくない状態です。心臓の機能が働かず、現在は心不全を起こしています」
心不全?
「血液の循環が不十分で…」
その後、先生の難しい医療用語がたくさん出てきて、何がなんだか分からなくなっていた。
「廣川健さんは、2年ほど前から大学病院の方で治療を受けていたみたいですがー」
「え!?」
治療?
2年前から?
私とお母さんは、息を飲んだ。
「御存知ではなかったのですか?」
先生が驚いた顔をした。
「はい。何も…」
お母さんを他所に私は驚きの余り声も出なかった。
震える手で口元を抑えた。

