「仕方ないよ。クジ引きで決まったんだし」

私は小さく息を吐いた。


佐野さんとは同じクラスだけど、あんまり話したことが無かった。でも、私とは真逆のタイプで少し苦手な感じの子だ。


写真部の部員は2人しか居ない。私も佐野さんも写真部員ではないが、文化祭と写真部のコンテストの大会の日程がかぶってしまい、欠員になった為にクラスから2名ずつ応援に呼ばれて、私と佐野さんがクジ引きで担当になった。

2時間ほどの担当だが、写真を閲覧にくる生徒は少ない。


「この写真、素敵だなぁ…」

海辺の夕焼けの空の下、小さな子供が砂場で遊んでいる写真があった。


今まで、写真に興味がなかったけど、なんだか気持ちが癒され、何度見ても飽きなかった。

どの写真にも、一枚一枚命が吹き込まれていて、そこにいる臨場感が味わえた。


そんな気持ちになった私とは真逆で佐野さんは、写真を一切見ず、ずっと携帯電話を触っている。