「お前にはちっとも伝わらなかったけど、ガキの頃からずっとお前が好きだったんだぜ」
健がフッと笑った。
その笑顔に、私は涙を拭った。
「だ、だって…わかんないよそんなの」
「中学の時、お前にキスしたじゃん?」
へ?キス?
は?
私が慌てていると、
「お前って、やっぱ、バカだよなー!」
健は、意地悪そうに笑っている。
「は?意味わかんない!何よ!」
「文化祭だよ!お前さー」
文化祭というキーワードに記憶の断面が蘇った。
そうだ!
あたし、このバカ健に大事なファーストキス奪われたんだった!!
でも、あれって事故でしょ?
え?ま、まさか…
「あれってワザとやったんだよ」
健がニヤリと笑った。
蘇る記憶…
中学の文化祭。

