リビングの扉を開けると、お母さんが朝食を作っていた。



「おはよう…」


冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、口を潤す。

「あら真琴、目が腫れてるじゃない。どうしたの?」

「…んーちょっとね」


私は、ソファーに座って、客室の方を何気に見た。


明け方に帰って来たみたいだから寝てるよね?



健が起きる前に出掛けようかな〜?



やっぱり昨日の今日で顔を合わせるのがなんとなく気まずい…。




再びため息が漏れた。




健のバカ…。


「あ、真琴…明日は、お墓参り行くから早く起きなさいよ」


キッチンからお母さんが朝食を作りながら言ってきた。


「うん。分かってる」


明日は、お父さんの命日だ。


4年経つけど、まだ実感がわかないんだよね…。





リビングの窓おもむろに開けると、風がすーっと横切った。


お父さん、よく朝はこうやって空気を入れ替えてたなぁ…。


そんなことを思い出していると、



ーガチャンッ!


リビングに飾ってあった写真立てが風に揺られて倒れて落ちた。