10年後も…〜song for you〜


「健には、幸せになって欲しい。心から好きな人と…。あたしじゃないのが悔しいけど…」


そう言った絵里の目から、涙が一粒こぼれ落ちた。



その涙を見たら、抱きしめたくなる。




でも、俺にそんな資格はない。




絵里は、俺の気持ちに気付いてて、3年も付き合ってくれていたのか…。





でも、俺は絵里への想いも本気だったんだ。



決して、遊びなんかじゃなかった!






その気持ちにウソや偽りはない。




ただ、真琴を忘れられなかっただけだ。





真琴への想いを消す為に最初は付き合っていたけど、絵里の隣にいると安らぎがあった。


包み込む優しさが俺を癒してくれていた。




「最後にひとつ聞いていい?」



絵里は、涙を拭うとフッと笑って俺を見た。




「あたしのこと、好きだった?好きでいてくれたことあった?」






俺は、絵里の目をまっすぐ見つめた。




「好きだったよ。俺は、絵里が好きだった。でも、真琴のことは…」





俺は絵里から視線をあいつが好きな月を見上げて、














「愛してるんだ…」


そう呟いた俺に、絵里はにっこりと笑ってうなづいた。