「そっか…」 晴人くんは小さく呟いて、フッと笑みをこぼした。 でも、その表情に悲しみは消えていなかった。 私は、添えていた右手に力を入れた。 私の気持ちが晴人くんに伝わって欲しくて…。 「車出そう…?もうこの話は終わり。明日、晴人くん朝早いんでしょ?帰ろう…」 「……うん」 晴人くんはアクセルを踏み出し、車は再び動き出した。 それからお互い何も話すことなく、家に向かって行った。 心に穴が空いた。 何かが音を立て崩れた気がしたが、私はその気持ちを必死に追い払った。