「もう一曲聴きたい!あれ聴きたい!ほら、なんだっけ?真琴が好きな曲」 桐谷が、真琴を見た。 真琴の視線が俺から桐谷に移る。 俺は、息を吐き弦を鳴らした。 真琴の視線が俺に戻った。 スタンドバイミー。 真琴が好きなこの曲を、俺は弾き始めた。 「そう!これこれ!」 桐谷の声が響く。 真琴はただ黙って俺に視線を送る。 弦を押さえた指に力が入る。 少し緊張してしまっている。 俺がメロディを奏で歌い出すと、一緒に歌う声が聞こえてきた。 真琴だとすぐ分かった。