真琴は、俺と目が合うと気まずそうに視線をそらした。
手を握っていたことに気付いたのか?
なんでこういうタイミングで振り向くんだよ…。
真琴は前に向き直し運転しているはるとを見ている。
「晴人くん?どのくらいかかるの?」
「一時間ちょっとかな?あ、着く前に近くのスーパーでバーベキューの材料買わないと。でも必要な道具はほとんど揃っ
てるんだ」
「そっか」
2人の会話が耳に入ってくる。
絵里は、俺が手をはねのけてしまったから、ショックだったのか、ずっと黙っている…。
窓から外をぼーっと眺めている。
後ろの2人は、くだらないクイズを言い合いながら、完全浮かれモード。
前の2人はお互い目を合わせながら、微笑んでいて甘いムード。
俺たちは、お互い窓の外をぼーっと眺めているだけ。
絵里をまた傷つけた…。
自分への怒りを通り越して呆れていた。

