「あんた達、まだゲームしてたの?」
お母さんがリビングの扉を開き、顔を出した。
「もう、11時よ。どちらか早くお風呂入りなさい。真琴、あんた明日も面接でしょ?大丈夫なの?」
そう言われて、時計を見ると針はもう11時をさしていた。
お母さんは、呆れたようにリビングのドアを閉めて、寝室に戻って行った。
やば…明日も就職の面接だ…
もう、健のせいじゃん。
「真琴…お前、まだ就活中かよ」
健が苦笑いをしながら言った。
「うるさいな!健にだけは言われてたくない。なんも話してくんないし、もういい。お風呂入ってくる」
ムカっとし、勢いよく立ち上がった瞬間、少しフラついた。
「おっと…」
健が支えてくれたが、腕を振り払った。
「健のバカ!」
フラつきながら、お風呂に向かっていると…
「風呂で寝んなよ、あぶねーから」
健の少しバカにした言葉の中に、優しさがあることに少し笑ってしまった。