「健、ちょっと待って」 荷物を持って、立ち上がった健に私は、ストップをかけた。 「なんだよ」 「持っていかないの?」 そう言ってギターを指差す私に、健は首を横に振った。 「なんで?こういう時、あたしはカメラで、あんたはギターを持って出掛けてたじゃん」 私は、カメラを見せてギターを手に取った。 「ほら!あたし、また聴きたいよ」 「……」 健は、ギターを見つめたまま何も言わない。