「珈琲飲む?」
「……いい」
ゲームに夢中な健に、食後の珈琲を差し出したが、健はこっちも見ずに断った。
変なの。珈琲好きなくせに…。
「じゃあ、あたしはビールでも呑もうと」
缶ビールを片手に、リビングのソファーに座る。
健は、テレビと至近距離でゲームに夢中で、私に背中を向けている。
「柿ピー食べる?」
「ん?ああ」
おつまみのお菓子をいくつか差し出すと、頬張りながらもゲームに集中している。
「これ、よく飽きないよね…
あっ!…あーあ、負けたぁ」
対戦ゲーム。
コンピュータ相手にゲームオーバー。
「よし、久々勝負するか?」
やっと振り返った健の笑顔が、子どもみたいで、クスッと笑ってしまった。
「いいよー!やる!」
もう、いいや。
余計なことを考えるのは、とりあえずやめておこう。

