10年後も…〜song for you〜


「珈琲飲む?」


「……いい」


ゲームに夢中な健に、食後の珈琲を差し出したが、健はこっちも見ずに断った。


変なの。珈琲好きなくせに…。


「じゃあ、あたしはビールでも呑もうと」


缶ビールを片手に、リビングのソファーに座る。

健は、テレビと至近距離でゲームに夢中で、私に背中を向けている。


「柿ピー食べる?」

「ん?ああ」

おつまみのお菓子をいくつか差し出すと、頬張りながらもゲームに集中している。

「これ、よく飽きないよね…
あっ!…あーあ、負けたぁ」


対戦ゲーム。

コンピュータ相手にゲームオーバー。


「よし、久々勝負するか?」


やっと振り返った健の笑顔が、子どもみたいで、クスッと笑ってしまった。


「いいよー!やる!」



もう、いいや。

余計なことを考えるのは、とりあえずやめておこう。