でも、ちゃんと甘えることの出来ない私は、
「ううん。大丈夫。晴人くん逆方向でしょ?こっからだと、うちまで遠いし、明日も朝早いから、ここまでで良いよ」
「あぶないよ。ちゃんと送り届ける」
「ほら、タクシーあるし、タクシーに乗って帰るから心配しないで」
私は、晴人くんの心配をよそに、ロータリーに待機しているタクシーを指差した。
指差した方を見た晴人くんはすぐに私をタクシー乗り場へ引っ張った。
「さ、乗って」
一台のタクシーにすぐ声を掛け、私を誘導する。
晴人くん早いなぁー。
「じゃあ、また連絡するね。気をつけて。あ、運転手さん!俺の大事な人なんで、無事に届けて下さいね!」
ちょ、晴人くん!
運転手さんに何をー!?
恥ずかしいなぁ…。
でも、嬉しくてにやついてしまった。
「はい。承知しました。閉めますよー」
運転手さんは、微笑んでふりかえった。
運転手さんの顔が見れない。
晴人くんのばか。
そう心で呟いた。

