10年後も…〜song for you〜


でも、ちゃんと甘えることの出来ない私は、


「ううん。大丈夫。晴人くん逆方向でしょ?こっからだと、うちまで遠いし、明日も朝早いから、ここまでで良いよ」

「あぶないよ。ちゃんと送り届ける」

「ほら、タクシーあるし、タクシーに乗って帰るから心配しないで」


私は、晴人くんの心配をよそに、ロータリーに待機しているタクシーを指差した。


指差した方を見た晴人くんはすぐに私をタクシー乗り場へ引っ張った。


「さ、乗って」


一台のタクシーにすぐ声を掛け、私を誘導する。




晴人くん早いなぁー。


「じゃあ、また連絡するね。気をつけて。あ、運転手さん!俺の大事な人なんで、無事に届けて下さいね!」


ちょ、晴人くん!


運転手さんに何をー!?



恥ずかしいなぁ…。



でも、嬉しくてにやついてしまった。



「はい。承知しました。閉めますよー」


運転手さんは、微笑んでふりかえった。


運転手さんの顔が見れない。


晴人くんのばか。



そう心で呟いた。