10年後も…〜song for you〜


70kmでも全然駄目で、空振りばっかり。

健によくバカにされてた。


健の顔がふと頭をよぎり、バットを持つ手に力が入る。


結局また空振り。



そんな私を見て晴人くんが、笑ってる。







映画館前で慌てていた晴人くんの姿は消えていて、なんだかホッとした。


「よし、俺も久々やるか!」


「久々?」


「俺、中学の時は、野球部だったんだ。万年補欠だったけど」




そんなことを言った晴人くんだったけど、軽々と打っていた。


晴人くん、楽しそうに笑ってる。



本当よかった…。



デートでバッティングセンターなんて、全然ロマンチックも色気もないけど、


来てよかった。



と、心から安心した。