海鳥が遠くで鳴いている。


風が木々を揺らす音、波が砂浜を打つ音が壮大な音楽に聞こえるくらい、その日は静かだった。



「依音ちゃん、本当に1人で大丈夫かい?」



私をこの小鳥島まで送ってくれた叔父さんが心配そうに聞いてくれた。




「はい。叔父さん、わざわざありがとうございました」



島を吹き抜ける風にかぶっていた帽子を飛ばされないように、頭を抑えて私は答えた。





「いやいや、それより何かあったらすぐに連絡するんだよ?いいね?」




「はい。……お父さんとお母さんにも、心配しないように伝えておいて下さい。」