「……」 腕の中で眠る沙凪を抱き締めたまま、意識をテーブルにやる。 乱雑に置かれた、俺のイヤーカフ。 沙凪のピアスはどこに置いたんだろう。 「…ったく」 このオジョーサマの気まぐれにも困ったもんだ。 「あんなもん無くても俺は離れないっつーの。 気づくのおせぇよ、ばか沙凪」 むいっと、鼻を摘まんでやった。 「んー…」 眉を寄せて唸る沙凪の顔を見て、少し満足する。