「ん?」 「…何でもない」 「あー、あれ?」 「何でもないのっ」 あたしが見つけたのは、うさぎのぬいぐるみだった。 「お前昔からあーゆーの好きだよなー」 「別に好きじゃないっ」 「取ってやるって、欲しいんだろ?」 「…別に欲しくないもん」 「はいはい」 ぽんぽん、と優しくあたしの頭を叩いた颯は、 うさぎのぬいぐるみのクレーンゲームを始めた。 「…お、意外と難しいな…」 真剣な横顔を、じっと見つめる。