「…10年間もまともに帰らなかったのに、 よくそんな事が言えますね」 「……」 「学校ですので。失礼します」 一度だけ頭を下げてから、足早にその場を去った。 「…沙凪」 「…ん」 「話しただけでも、俺は進歩だと思う」 「…ええ。ありがとう、颯」 振り返らないで告げて、リムジンに乗った。 顔を背けたのは泣くのを我慢する為って、気づかれたかな。