「行ってきます」 「お待ちください、お嬢様。お話が…」 「何?」 元々、あんな夢を見たせいで機嫌が悪かっただけ。 すっかり元の調子に戻っていつも通りに颯を家を出ようとした、 お母様の命日の3日前の朝。 「旦那様が、明日の夜にお帰りになられるそうで…」 「…は?」 思い切り顔を歪ませたあたしと、 凍りつく颯。 「奥様の命日が近いから、予定を空けたと仰って…」 「…そう。わかった」 爺やの言葉を遮って、家を出た。