ことん、とあたしの前にマグカップを置いて、 「お前、昔からこれ飲んだらよく寝れるだろ」 「……」 どうしてそんな事覚えてるんだろう。 あたしだって、言われて「そう言われれば」ってなる程度なのに。 「…ありがとう」 小さいけれど、珍しく素直に言えた言葉は、 颯の耳に届いたかな。 ゆっくりとホットミルクを飲み終わると、 もうほとんど意識は無かった。