あれは小学生の高学年の頃だ。
俺はすでに鍵っ子だった。
誰もいない家に帰り、自炊し、
自分で風呂も沸かして、寝た。
たぶん日付が変わるぐらいの時間だ。
母さんが帰ってきた。
そして俺の部屋に入ってきたのだ。
「和希ぃ~、ただいま。」
母さんはすでに酔っぱらっていた。
お酒に弱い母さんが酔っぱらうのは
よくあることだった。
特に何か嫌なことがあるときは
ボロボロになるまで飲む。
だから俺は仕事で何か嫌なことがあったんだな、
なんて思っていた。
母さんはそのまま俺のベッドで
寝てしまったので
俺は下のリビングで寝た。

