「ねぇ、和希。明日から夏休みなんでしょ?」

「うん。」

母さんはすでに酒がまわっていて

顔が赤くなっている。

「明日からお母さんのところに行きなさい。

どうせ夏休み中暇なんでしょ?」

「は?」

また急な話だ。

母さんの実家は東北の方にある。

俺はあまり行ったことがない。

「どうしてだよ。

塾とか、クラスの奴らと遊んだりとか

別に暇じゃないんだけど。」

「塾なら休みなさい。

もう、お母さんには連絡してあるし

新幹線のチケットも、ほら。」

母さんは鞄から交通機関の会社のロゴが

入った封筒を取り出した。