二度と来ない夏



家から歩いてすぐのアパート。

新しいかと言われれば新しくはない。

古いかと言われれば古くはない。

アパートの一階。

原田と書かれたプレートのはられた

ドアのチャイムを押した。

「はい?」

ドアを開けてくれたのは先程の少女

ではなく、若い女性だった。

「あの、昨日から橋本絹江さんに

お世話になっている藍川和希です。

昨日のオムライス、

ありがとうございました。

とても美味しかったです。」

「あっ、絹江さんの。

・・・もしかして、オムライス、

私が作ったと思ってる?」

女性はすまなそうな顔で言った。

「あれ、作ったの千夏。

千夏って言うのは私の妹なんだけど。」

「午前中会いました。」

「なら、話は早い。

作ったのは千夏、お礼は千夏へどうぞ。」

女性は笑顔で言った。