閑静な住宅地。

都内では高級住宅地として知られている。

俺は背中を丸めてとぼとぼと歩いていた。

俺はこの時間がいつも嫌いだ。

家という家から

夕飯のいい匂いが漂い

家族団欒の灯りが漏れている。

俺はそんな中、誰もいない家に帰る。

先程まで友達と騒いでいたのが

尾を引き尚更辛い。

「ただいま。」

俺は一つの家に吸い寄せられるように

入っていった。