ボーンと音が鳴る。

古ぼけた掛け時計が8時を教えてくれた。

「俺の父親は誰なんですか?」

「康太だよ。」

康太、相合傘に書かれた人か。

「康太さんとは誰なんですか?」

「あそこの遺影の人さ。」

絹江さんは居間の隣の和室にある

仏壇にかざられた二つの遺影を指さした。

片方の遺影にはそう若くもない男性。

きっと死んだ母さんの父なんだろう。

その隣の遺影には

俺より少し年上な感じのする

大学生ぐらいの男性。

「橋本康太。あそこの遺影のやつさ。

中々かっこいい顔してるだろ?」