「絹江さん。」

「なんだい?」

絹江さんはオムライスを食べ終わり

緑茶を飲んでいた。

どうやらオムライスは

想像以上に口に合ったらしい。

「また、作ってもらおうかね。」

なんて言っている。

「・・・俺さ、この間絹江さんからの

手紙を初めて見たんです。」

絹江さんの表情が曇った。

「母さんは絹江さんが想像して通り

俺に絹江さんの存在も

父の存在も隠していました。

絹江さん、おねがいします。

俺の父について教えてください。」

俺は絹江さんに頭を下げた。

夏はまだ始まったばかり。

何も今聞かなくてもいいんじゃないか、

そうとも思ったけど、

逆に今聞かなかったら

恐くて引きずりそうだと思った。