差出人は

「橋本絹江」

橋本は母さんの旧姓だ。

封筒はすでに封切られていて

中の手紙はすでに読まれた形跡があった。

俺宛でもあるのだから

俺が読んで悪いわけがない。

「読んでもいいよな。」

俺は手紙を広げてみた。

「由紀恵、和希へ

宛名には和希の名も入れてますが

きっと由紀恵は和希に

この手紙を見せたはいないでしょう。

和希には私の存在すら教えてないでしょう。

和希は母親以外の家族について

何も知らないまま育ったのですね。

私が貴女の教育につべこべ言う筋合いは

ないですが、これにかんしては

どうかと思います。

和希だって知りたがってるでしょう。

例え、それがどんな現実であっても。

貴女は私のことを疎ましく思って

いるでしょうが、

それに関して和希は何も関係ありません。

父親に関しても同じです。

和希を巻き込んではいけません。」