「なんか用あんの?」
俺は表情を変えずにそう言うと
すぐに窓の外に視線を向けた。
数学準備室は妙にホコリ臭くて
それが俺の神経を鈍らせる。
「んーん、べっつに〜」
窓に背中を預けて寄り掛っていると
その隣に佐伯も寄り掛った。
「んだよお前。
ここ俺の隠れ家だっつーのに」
「ふふ、だってここなら夏と
二人っきりになれるんだもん」
「俺二人っきりとか苦手なんですけど」
「えー。嘘だあ。
だってよく浅野さんと
二人でじゃれあってるじゃん」
見てたのかよ。
でも俺が浅野といても周りにはじゃれあってるぐらいにしか見えてないのか。
ホッとしたような、残念なような。
「ほら、アイツ弄り甲斐あるし」
「…そうかなあ?
あたしはそうは見えないけど」
「俺が思ってればいーんだよそれで」
「、」
あ、
今のは度が過ぎたか。
今まで佐伯に合わせなかった目線を合わせる。佐伯の瞳は疑っていた。
「え。…な夏って、
浅野さんが…すき、なの?」
「…」
逸らせなかった。

