指先で紡ぐ月影歌





そして何だかんだでやっぱり俺も、この剣がどこまで通用するのか試したかったんだ。


だってそのために藩を飛び出したようなもんだから。

試す機会があるなら、試してみたい。


勿論、悩みはした。

特に近藤さんは凄く悩んだと思う。


武蔵から京まではかなり距離があって。

一度行けば早々帰ってこれる距離ではない。


近藤さんは道場を預かっている身だったし、奥さんも餓鬼もいる。悩んで当然だ。


でも、それでも夢を追いかけたいと思うのが男ってものだと思う。



重大な決断だった。

未来を大きく左右してしまうような。


それくらい、大切な決断だった。