浪士組の話を聞いて、皆で京に行くことを決めた日のことは今でもよく覚えている。
忘れるわけがない。
それは相変わらずただ飯食いをしていた俺らに訪れた最大の転機。
俺たちの未来を変える出来事だったのだから。
俺に似て見事に剣の虫に成長してしまった総司は目を輝かせて。
いや、俺の目も負けず劣らず輝いていたとは思うが。
刀を振るえることはやっぱり純粋に嬉しい。
自分の力を存分に発揮できる場所を貰えるんだから。
それに百姓出の近藤さんや土方さんが武士ってもんに憧れてるのはよく知っていたしな。
元々武士階級の俺や中間の左之はそれほどでもなかったが、純粋に彼らの熱意だけはわかっていた。


