それでも土方には変わることのない意志が存在していた。


守るべきものが、彼にはあった。




「…随分、遠くまで来たもんだな…」




それは嘲笑か安堵か。

答えを知るものは土方以外にはない。


自分の結末は誰よりも自分が理解している。

それが遠くない未来であることも。



そう考えていた土方は、二本の刀と大東屋にあてた幾つかの品と手紙。

日野にいる義理の兄・佐藤彦五郎にあてた手紙や写真、そして切り落としていた遺髪になるであろう自らの髪の束などを一人の男へと託したのだった。