指先で紡ぐ月影歌





「何もかもがさ、すげぇ早さで変わっていって。今までのことが全部夢みたいになっちまうんじゃないかって…」




そう、怖くなるんだ。


見ていたはずの景色はあっという間にその姿を変えていった。

この胸に持ち続けてきた、生まれたときから植え付けられてきた思考は真っ向から否定される。


こんな時代がくるなんて想像もしていなかった。

俺たちの憧れが、夢が否定される時代。


流されまいとどんなに足を踏ん張ってみても、まるで馬を走らせて見る景色のように世界は流れていって。


決して俺が留まることを許してはくれない。




「気付いたときには俺の知らない世界になっちまうんじゃないかって、怖いんだ」