指先で紡ぐ月影歌





そんな総司にとって、あの人はどんな存在だったんだろうか。


近藤さんは総司にとっていつまでも"近藤先生"のままだった。

試衛館で総司に竹刀を持たせていたあの頃のまま。


でもあの人は?


本人にそれを聞いたことはない。

聞いてはいけないことなんじゃないかとどこかで感じていた。


多摩にいた頃から一緒だった二人。

俺から見たら二人は年の離れた兄弟のようだった。


あの人は何かと総司に甘かったし、総司もまたあの人を慕っていたようだった。

それは間違っていないだろう。


だけどその裏で、互いに負けられない存在だったのではないかと俺は思っている。


それが近藤さんありきの話なのかそうじゃないのか。

そこまではわからないけれど。