指先で紡ぐ月影歌





あの人の目には今、どんな光景が見えているのだろうか。


それがとても恐ろしいもののような気がして、俺はそっと視線を逸らした。


そんななかで近藤さんが小さく願った平助の生きる道。

やっぱりお人好しなんだ、この人は。

だけどきっとそれが近藤さんという人で。


そして何よりそれは俺たちの願いでもあった。


でも一度すれ違ってしまった歯車はそう簡単には戻らない。

はいそうですか、とはいかないのがこの世界なんだ。

男としての意地もある。


不協和音は決して綺麗な音色を鳴らせない。


俺はそれを痛いほど知っていた。


混濁した戦闘のなか。

平助が義理を通してあけた道を逃げなかったのか。

それとも俺らの命を無視した誰かが斬り付けたのか。