指先で紡ぐ月影歌





それでも信じられなかった。信じたくなかった。


試衛館から続いてきた絆をここで断ち切られることになるなんて。

それを平助が選んだなんて。


悔しさと悲しさと怒り。

そんな感情が入り交じる。


そして何より斎藤が向こうに着いていくなんて、もっと信じられなかった。

というかそれをあの人が許したなんて。

有り得ないだろう。


斎藤に関しては何かあるのかもしれないと思った。

そう簡単にあの男が此処を離れるとは思えないから。


平助も腕のたつ奴だが、斎藤は組内で一・二を争う剣の名手。

…違う。俺が一番だから、二・三を争う、だな。


そんな奴をあの人が簡単に手放すはずがない。

きっと何かあるに決まってる。