指先で紡ぐ月影歌





その年、俺は近藤さんたちが江戸から連れてきた伊東甲子太郎という男に連れられ、斎藤と数人の隊士を引き連れ元旦から島原に来ていた。


幹部として引き抜かれた伊東さんのことは正直反りの合わない相手だと思っていたが、酒があるなら話は別で。

甘い酒と女の香りに誘われその席に赴いた。


そしてあろうことかそのまま三日外泊をしてしまった。


四日目に近藤さんからの使いが来るまで、朝から晩まで飲み明かしていた俺たち。

正直言って中二日のことはあまり覚えていない。


俺も、いろいろと鬱憤が溜まっていたんだと思う。


それこそ、連れ立った連中の中に左之の姿がないことに気付けないくらい。


斎藤の酒がいつの間にか水に変わったことに気付けないくらいに。