指先で紡ぐ月影歌





目が飛び出るというのはこういうことなのかと。生まれて初めてそれを体験した瞬間。


本当に目を見開いちまうくらい驚いたんだ。

激しく動揺した。


それは山南さんのときとは全く別の、希望のような驚き。


まさか。まさかあの左之助が妻を娶るなんて。


俺なんかよりずっと江戸っ子気質で、気が短いことで有名な左之が。

俺と同じように暴れ回るのが好きなあの左之助が。


しかも左之といえば土方さんといい勝負の色男。

背も高けりゃ、体格も顔も良い。


花街に行ったって吸い寄せられるように女が寄ってくる。

そんな嫌味かってくらいの所謂いい男。


そいつが結婚なんて、槍でも降るんじゃねぇのかと思った。