近藤さんと揉めたとか、倒幕に寝返ったとか。
あちこちで飛び交う根拠のない噂。
結局脱走の詳しい理由は最後まで話されることはなかったが、きっと一つではなかったのだろうと思う。
もし大きな理由一つだったなら。話し合うだけでよかった。
静かに衝突しながらも話し合うだけに留まっていたはずだ。
長年積み重なってきたものがあったのだろう。
山南さんとあの人はとても対照的な存在で。
【誠】という一本道に、背中合わせで立っているような。そんな感じ。
守りたいという思いは同じなのに、二人は互いに別の方へ踏み出そうとする。
勿論、それに気付いていない二人じゃない。
寧ろその正反対な歩みこそが新撰組の均衡を保っていた。


