指先で紡ぐ月影歌





【局ヲ脱スルヲ許サズ】



それは局中法度に記された絶対の掟。

例え幹部であろうともそこに例外はない。


誰もが驚いた。

一番動揺していたのは近藤さんや総司だっただろう。それこそ声も出せないほどに。


平助も目に見えて取り乱していた。


左之だって表立って取り乱すことこそしなかったが、狼狽えていたのは明白で。

瞳が揺れていたのを俺は知っている。


俺も、誰の目から見ても明らかなほど動揺していた。

そのまま土方さんの部屋に乗り込んでしまったのがその証拠だ。


斎藤と山崎くらいじゃなかっただろうか。


あの人と同じように、静かに言葉を飲み込んでいたのは。

目の前の現実を見据えていたのは。


動揺は組の中に波紋のように広がっていく。