指先で紡ぐ月影歌





話し合いが住んで、一応の和解を迎えた後。

すれ違いざまにあの人にかけられた言葉がある。



"悪かったな。面倒な役回りさせて"



本当に、人がいいというかなんというか。

素質は十分すぎるほどあるのに、いつだって二番手三番手に甘んじていて。


実は近藤さんと並ぶくらいのお人好し。


自分の野望より近藤さんの夢を優先しちまうような。

そんなところ絶対人には見せなかったけれど、きっと誰よりも損な役回りをこなしていた鬼と呼ばれた男。

当たり前にそれをしていた男。


言葉の後に叩かれた肩の小さな痛みは忘れられない。


その手のひらに"お疲れ様"と言われた気がした。