指先で紡ぐ月影歌





最後までただただ沈黙を守っていたあの人。

近藤さんの傲慢を許すのかとしつこく食いかかった俺にも絶対に口を開かなかったあの人。


後になって近藤さんから聞いた話だが、近藤さんからの相談にも何一つ答えなかったらしい。

しかも山南さんにまで手回しをしていたという。


"あの時のトシは本当に怖かった"と肩を竦めて言っていた。


近藤さんの話も聞かないなんて珍しいな、と思ったのはほんの一瞬で。

すぐにあの人らしいと笑いが零れた。


きっと、ここが正念場だと気付いていたんだろうと思う。

そして俺たちの行動が必要だったことも。


だって何よりも新撰組-ココ-を守ろうとしていた人だから。