指先で紡ぐ月影歌





どうなっているのかわからない総司の状況に気をとられていたからか、ふと見れば平助が額に傷を負っていて。

いや、まぁこれに関しては気が散って防具を緩めた平助の自業自得だと思ったが。


それでも近くに倒れられりゃ気になるもんだ。


何とか立ち上がったものの、幾分足元が覚束ない。

そんな平助を庇いながら敵を薙ぎ倒していく。


気付けば、知らぬうちに俺も左手の親指の付け根を貫かれていた。


だからといって動きを止めるわけにはいかない。


突入した十人全員の姿が見えるわけじゃないが、こうやって全力で刀を振るえているのは恐らく半分もいないだろう。

だからこそ、俺はその最前をいかなくちゃならない。