指先で紡ぐ月影歌





そんな俺の前に背を向けることなく立ったのはあの人…土方さんだった。



あの人が俺を部屋に呼んだのは、左之と話した数刻後のこと。


暫くの間無言で向き合っていたが、視線が重なった瞬間その唇が動いて。

そして決して変わらない事実を俺に告げた。


左之から聞いて覚悟はしていたはずだったのに。

あの人が言葉にすると全く違う重みを感じるから困る。


きっとそれは向き合ったあの人の瞳のせい。

いつもと少しだけ色の違う、あの瞳のせい。



実行犯にならなくても傷は背負う。

消えることのない傷を。

それをあの人はわかっていた。


わかっていたからこそ、俺を心配してくれていたんだ。