指先で紡ぐ月影歌





思わず左之の前で言葉を詰まらせてしまった。


芹沢さんは俺と同じ神道無念流の免許皆伝した所謂同門で。

それ故か彼との交流も試衛館から来た他の奴らよりは多かっただろう。


実際、酒を呑み交わしたことも少なくはない。

彼の人情じみたところも少なからず見てきた。


だからこそ、下された決定を素直に受け止めるのが難しくて。


二番隊を預かる身としてこれでは駄目だと頭ではわかっていたけれど、感情はなかなかいうことを聞いてくれない。


そんな複雑な思いが周りに伝わっていたのだろう。

左之から聞かされるまで、誰の口からもその話を耳にすることはなかった。