指先で紡ぐ月影歌





芹沢さんたちの粛清が行われたとき。

あれが一番初めの分かれ道だった。



誰より先にそのことを俺に伝えに来たのは意外にも左之で。

新見さんのことがあった数日後のことだ。


普段の大口開けて笑う姿はどこへやら。

やけに真面目な、緊張した面持ちで俺の前に立ったあいつ。


滅多に見ないその雰囲気に、予感はあった。


左之が一言目に放ったのは土方さんの名前。


"土方さんが心配してる"と。


その時にはもう、きっとそうなんだろうと半ば話の内容に確信を持って。


そして一瞬躊躇うようにしてから告げられた、芹沢一派粛清の報。