指先で紡ぐ月影歌





そんな二人を宥める近藤さん。

一体誰が偉いんだか、これじゃわからねぇな。



だけど、話はこれで終わりじゃなかった。


名前を、貰ったのだ。


今回の迅速な出陣を評価されて、会津公から名前を貰ったのだと土方さんが話す。

その口元に隠しきれない笑みがうっすらと浮かんでいたのは俺の見間違えではないだろう。


名前を貰った。

それは、どうしようもなく衝撃的なことだった。


正直、褒賞金くらいは出ると思ってはいたが。

まさか名前が貰えるなんて。


会津の人たちと言い合いになったことはどうなったんだろうか。

なかったことになったんだろうか。


そんなことを考えるくらい動揺した。